茶功アカデミー

第3章

お茶の基本知識

薬としての茶、成分としての茶

お茶はまず薬でした。古代中国の『神農本草経』に「苦菜」として記され、陸羽が『茶経』で「茶」の字を定め、栄西が『喫茶養生記』に「茶は養生の仙薬なり」と書き残す。その系譜のうえに、いま私たちが飲むお茶があります。

この章は八回構成です。前半では、お茶が薬として扱われてきた歴史と、「茶禅一味」という精神の側面を扱います。後半では視点を変え、ミネラルやクロロフィルからカテキン、テアニン、カフェイン、食物繊維まで、お茶の成分が身体と脳に何をしているのかを順に見ていきます。最後に、お茶の味を左右するもう一つの主役である「水」を扱って締めくくります。

この章のレッスン(全8回)

  1. 01 お茶は薬 神農の伝説と『神農本草経』の「荼」から、陸羽が『茶経』で「茶」の字を定めるまで。お茶が薬から独立した文化へと昇華していく過程をたどります。
  2. 02 茶は養生の妙薬なり 鎌倉時代、栄西が中国から茶種を持ち帰り『喫茶養生記』を著すまで。苦味が「心」に効くという、中医学の五行説にもとづく養生思想を読み解きます。
  3. 03 ココロの食べ物 「茶禅一味」を手がかりに、意識を曇らせる酒と意識を澄ませる茶という対比から、お茶が精神の食べ物であることと、瞑想との不可分な関係を見ます。
  4. 04 お茶の有効成分 前編 ミネラル、クロロフィル、ビタミンC、β-カロテン。抽出液に溶け出す成分と、抹茶や粉末茶のように茶葉ごと摂ってはじめて得られる成分の違いを整理します。
  5. 05 お茶の有効成分 中編 苦味・渋味の主役であるカテキン。EGCGの抗酸化作用、メチル化カテキンの抗アレルギー作用など四つのタイプの性質と、茶種による含有量の違いを解説します。
  6. 06 お茶の有効成分 後編 旨味の中核にあるテアニンと、苦味をもたらすカフェイン。NMDA受容体への作用や、茶種・摘採期・湯温によって含有量が変わることを見ていきます。
  7. 07 お茶の有効成分 食物繊維と微生物が織りなす世界 コク、とろみ、まろやかさ。味や香りではなくテクスチャーを形づくる食物繊維と、プーアル茶などの後発酵茶で働く微生物の代謝に注目します。
  8. 08 お茶と水 硬度、pH、沸騰、温度。カルシウムはカテキンと結びつき、マグネシウムは旨味に関わる。お茶の味を左右するもう一つの主役である水を扱います。